いわゆる平和安全法制に関する一連の法案が9月19日未明、参議院で可決、成立した。これまで、私は、日本報道検証機構の活動の一環で、在京5紙(読売、朝日、毎日、産経、東京)を中心に関連する報道を観察してきた。憲法審査会で長谷部恭男・早稲田大教授や小林節・慶応大名誉教授ら憲法学者3人が法案について「違憲」と明言したことを大々的に取り上げ、憲法論議を活性化させた点は、一部メディアが重要な役割を果たした。だが、その転機となった6月以降は、取材・報道姿勢が二項対立的視点にとらわれ、多様な見解より社論に沿ったステレオタイプな言説が支配し、「報道の二極化」現象が極まった観がある。(*1) メディアが膨大な量の報道をしてきたわりに、憲法論議と安全保障論議を深める役割を果たしたといえるか、疑問が残った。 そこで、今後の報道や熟議の一助になればという思いから、これまでクローズアップされてきた憲法論を中心に、二項