ceroの新作「e o」の話で、あちこちがざわついている。2015年発表の3rdアルバム「Obscure Ride」でのブラックミュージックへの接近や、2018年発表の4thアルバム「POLY LIFE MULTI SOUL」での縦横無尽なリズムの洪水に対しても驚嘆の声が多く上がったことは今でも覚えている。 だが、今回の「e o」への反応は特別だ。理解を超えながら心身に染み入ってくるこの静謐で緻密な音楽は、ある意味、現行のポップミュージックの範疇とは別枠のものかもしれない。なのに、誰もが戸惑いながらもこの音や歌や言葉に心を揺さぶられている。クエスチョンマークとシンパシーが溶け合った状態、と言ってもいいだろう。あらゆる世界の音楽と真偽や人智を超えた情報がハイスピードで行き交う時代にあって、ceroの新作が多くの耳に止まった、いや、耳を止めた。その事実が特別だと感じる。 前作「POLY LIF