安藤みきえさん作。 ちょっと恐ろしそうな五つの短編集。 川釣り 青い金魚鉢 鬼ヶ守神社 スノードロップ 果ての浜 の5編。 生垣から鼻を突き出して吠える老犬ごんが出てくる「スノードロップ」では、地域の鼻つまみ者のじいさんの気持ちがわかっていくにつれ、ごんに親しみが湧いてきた。 いちばん衝撃を受けたのは、「果ての浜」で、戦時中波照間島から西表島に軍人が住民を強制移住させたことを知ったこと。 家族のように大切に飼っていたヤギや馬をすべて殺していけと命じられたそうだ。西表島はマラリヤが蔓延していて人が住める島ではなかったのに。 忘れな石という碑があるところは、連れてこられた子どもたちが少しの間勉強をした学校のあったところ。 学校といっても校舎なんかなく、青空教室。それでも、校長先生は入学を祝ってあげようとしたそうだ。