TVerで全話一挙配信が始まった「古畑任三郎シリーズ」を視聴するのが最近の日課である。何度も何度も再放送されるくらい人気があるシリーズだけあって文句なしにおもしろい。犯罪に使われるトリックや筋書きの多くは冷静に考えれば無理のあるもので、というか防犯カメラやインターネットの目が隅々まで光る令和の世では通用しないものがほとんどで、ミステリーとしてはツッコミどころだらけなんだけど、そんなこととは無関係におもしろい。物語における筋書きの整合性の意味とはなんなのかとか、考えさせられる。 「古畑任三郎シリーズ」が放送されたのは90年代の中頃で、当時私はまだ幼稚園児だったけれど、理解が追いつかないなりに楽しく観ていた記憶がある。ミステリとしての完成度とは切り離されたおもしろさがあるから、幼児が幼児なりに楽しむことができたのだろう。 とくに印象に残っている話がある。悪徳骨董商(作中では「春峯堂の主人」とか