2016 - 07 - 19 さずかるもの 【ショートショート】 いつの時代も、超人的な力を発揮する者は存在する。 鏡を使って、吉凶を占う者。 スプーンを自由自在に曲げる者。 聴くものすべてを快楽にさせる歌声をもつ者。 100メートルを、驚きの速さで駆け抜ける者。 人間には、それぞれ得意な能力が備わっているが、中には常軌を逸した能力が芽生える人もいる。 ただ、それはどのタイミングで誰に宿るのかは神のみぞ知ることだ。 ふとした瞬間に、生きている世界が変わる。 いままで無かった感覚が体のなかを駆け巡る。 目を開くと、割れんばかりの歓声。 気持ちいいだろう。 わたしは35歳になるが、 超人的な能力が芽を出さない。 これかなって思えるものはある。 極度の大食いだということ。 ただ、テレビに出られるほどのものではない。 周りから見たらの話だ。 配偶者はしっかり存在する。 大学生時代の同期だが、その頃