1970年代半ばのほんの少しのあいだではあったが、スパークス(Sparks)は“ポップ・スター”と誤解されてもおかしくない状況にあった。というのも当時、彼らの最新シングルは英国中のさまざまなラジオ局でオン・エアされ、ヒット・チャートの首位さえ狙える勢いだったのだ。また、当時の彼らはBBCの人気音楽番組『Top Of The Pops』にも定期的に出演するようになっていた。 しかしながら彼らの奇妙な風貌 ―― 忙しなく動き回りながらファルセットまじりの歌唱を披露するフロントマンと、チャーリー・チャップリン(あるいはアドルフ・ヒトラー?)に似た無表情なキーボード・プレイヤーから成る二人組 ―― は、彼らが一般的なアーティストたちとは一線を画していることを強烈に示唆していた。 最初の頃こそ、その音楽性は、UKチャートの上位を賑わせていたグラム・ロック・バンドたちと一括りにされていたかもしれない。