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トーマス。ベルンハルトの検索結果1 - 8 件 / 8件

  • 「わかる」ことは、人を孤独にする―トーマス・ベルンハルト『破滅者』山崎 正和による書評(ALL REVIEWS) - Yahoo!ニュース

    ◆「わかる」ことの悲劇と救い 「わかる」ことは、人を孤独にする。わからないすべての他人を敵に廻し、わかり知る密室に閉じこもることになるからである。 とくにわかる対象が自然物ではなく、人間の知恵や才能である場合、事態は致命的な悲劇となる。他人の優越がわかればわかるほど、人は自分にはそれができないことが切実にわかり、自分自身をも見下して、孤独を深めるほかはない。 もっと悪いのは、しばしばわかる人は当面の好悪の対象だけでなく、あらゆる世事について独特の趣味判断を抱くことが多い。音楽の深奥をわかる人は、万事につけてあたかも音楽を聞き分けるかのように、とかく過度に繊細で狷介(けんかい)な態度をとりがちになる。 ベルンハルトの小説集『破滅者』は、二編の中編作品、表題作と「ヴィトゲンシュタインの甥」からなっているが、いずれも要約すればこの「わかる」人の「わかる」がゆえの悲劇だといえる。二作とも主人公がわ

      「わかる」ことは、人を孤独にする―トーマス・ベルンハルト『破滅者』山崎 正和による書評(ALL REVIEWS) - Yahoo!ニュース
    • 今週の本棚:山崎正和・評 『破滅者』=トーマス・ベルンハルト著、岩下眞好・訳 | 毎日新聞

      (みすず書房・6050円) 「わかる」ことの悲劇と救い 「わかる」ことは、人を孤独にする。わからないすべての他人を敵に廻(まわ)し、わかり知る密室に閉じこもることになるからである。 とくにわかる対象が自然物ではなく、人間の知恵や才能である場合、事態は致命的な悲劇となる。他人の優越がわかればわかるほど、人は自分にはそれができないことが切実にわかり、自分自身をも見下して、孤独を深めるほかはない。 もっと悪いのは、しばしばわかる人は当面の好悪の対象だけでなく、あらゆる世事について独特の趣味判断を抱くことが多い。音楽の深奥をわかる人は、万事につけてあたかも音楽を聞き分けるかのように、とかく過度に繊細で狷介(けんかい)な態度をとりがちになる。

        今週の本棚:山崎正和・評 『破滅者』=トーマス・ベルンハルト著、岩下眞好・訳 | 毎日新聞
      • 【オンライン視聴・現地参加可能:イベント情報】2024/05/31 (金) 19:00 - 20:30 佐藤 亜紀×豊崎 由美 トーマス・ベルンハルト『消去』(池田信雄訳、みすず書房)を読む | ニュース | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

        ホームニュース【オンライン視聴・現地参加可能:イベント情報】2024/05/31 (金) 19:00 - 20:30 佐藤 亜紀×豊崎 由美 トーマス・ベルンハルト『消去』(池田信雄訳、みすず書房)を読む

          【オンライン視聴・現地参加可能:イベント情報】2024/05/31 (金) 19:00 - 20:30 佐藤 亜紀×豊崎 由美 トーマス・ベルンハルト『消去』(池田信雄訳、みすず書房)を読む | ニュース | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
        • トーマス・ベルンハルト『消去』読了 - はてなブログ大学文学部

          トーマス・ベルンハルト『新装版 消去』みすず書房 (2016) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 20世紀のショーペンハウアー、文学界のグレン・グールドと書かれていたので気になって読んでみたものの、この小説ばかりは少々退屈なものであった。 そして改行が一切なく、500ページ弱延々とつづく。 始終、主人公は家族や社会に対して否定的で虚無的な思想を抱いている。 共感できる部分はあったが、あまりにも最後まで虚無的であったので、ただただ絶望しきっている様子しか伝わらなかった。延々とつづく愚痴を聞いているイメージである。 ユーモアが僅かにただよっているのでなんとか最後まで読めた。 義弟のことを「ワインボトル用コルク栓製造業者」と呼んでいるところに、ユーモアがありつつも、拗らせきった中二病感が否めない。ただ、稀に笑いを誘うところもあったので、あれはあ

            トーマス・ベルンハルト『消去』読了 - はてなブログ大学文学部
          • 『ヴィトゲンシュタインの甥』(音楽之友社) - 著者:トーマス ベルンハルト - 種村 季弘による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

            著者:トーマス ベルンハルト出版社:音楽之友社装丁:単行本(206ページ)発売日:1998-12-10 ISBN-10:4276214114 ISBN-13:978-4276214118 奇人伝が何だ前世紀末オーストリア=ハンガリー帝国に鉄鋼・武器産業を興して、またたくまに帝国きっての財を築いた一族があった。カール・ヴィトゲンシュタインを家長とするヴィトゲンシュタイン家。カールの息子のうち三人は自殺し、のこった二人のうち一人はピアニストになり、もう一人が哲学者になった。哲学者になったほうが『論理哲学論考』のルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタインである。 その哲学者の甥にパウル・ヴィトゲンシュタインがいた。彼が何者かというと、奇人とでもいうほかない。巨額の遺産を、自動車レースとヨットとオペラと極上のスーツであっというまにすっからかんにした。ウィーン市内でタクシーをつかまえて、行き先をパリと告げた

              『ヴィトゲンシュタインの甥』(音楽之友社) - 著者:トーマス ベルンハルト - 種村 季弘による書評 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
            • 『消去』トーマス・ベルンハルト その2 - うちゅうてきなとりで

              遺書 彼は葬儀に立ち会うためにヴォルフスエックにやってくるが、すぐには邸宅に行かず、弓形門の陰から棺の納められたオランジェリーに出入りする庭師たちを観察している。そこで再び彼の思い出しがはじまる。 上の者(彼の家は村の上にある)にはぞっとしたが、庭師や村人、炭鉱夫には親しみを感じていた。 「要するに、間接的なものが私の性に合うのだ」。 彼は生涯にわたって素朴な人間になることをめざしたがうまくいかなかった。 ――私たちは自分は他人の仲間だと言明するとき、他人の存在を踏みにじっているのだが、それよりずっとひどい仕方で、自分自身を踏みにじっているのだ……私たちが自分自身でありつづけ「ながら」、他人といっしょにいることに完全に成功することはありえない。 他人へのあこがれというのはすべてゲームであって、純朴な人はおもわれているほど純朴ではなく、複雑な人もそれほど複雑ではない。インテリはいつも孤立して

                『消去』トーマス・ベルンハルト その2 - うちゅうてきなとりで
              • 『∂アムラス トーマス・ベルンハルト』

                ∂この本には、表題作「アムラス」と、中編作品「行く」の二編が収められている。 二作品とも「決して読みやすい作品ではない」けれどもいろんな発見があって、楽しめる。奥が深い哲学の本のような感じで、楽しい読後感。 「両親が自殺した」(7頁)で始まる、表題作「アムラス」。アムラスとは、「父の町インスブルク」(9頁)の「近郊の町」(7頁)。散文詩集のようにも思え、「言語哲学的にも」(262頁)読めるような気もする。 「どうして」両親は自殺しなければならなかったのか?「死病にかかった母のための一家心中未遂で父母を失い」(本書の「帯」より)、生き残ったわたしと一歳違いの弟は、 母方のおじの所有するアムラスの塔の書斎のような部屋に隔離、保護される。そして両親の死は、一家心中未遂による事故死(自己死)だった。 「たくさんの鳥の声が聞こえたが、<何の鳥であるかはわからなかった」(9頁)カアカアと鳴けば、カラス

                  『∂アムラス トーマス・ベルンハルト』
                • 日本にも熱狂的ファン! トーマス・ベルンハルトの新刊『昏乱』の魅力 | AERA dot. (アエラドット)

                  詩人、小説家の小池昌代さんが選んだ「今週の一冊」。今回は『昏乱(こんらん)』(トーマス・ベルンハルト著 池田信雄訳、河出書房新社/3190円・税込み)。 *  *  * 戦後のドイツ語文学のなかで最も重要な散文作家の一人と言われるトーマス・ベルンハルト。その割に邦訳が少ないとも言われてきたが、ネット上に現れたコメントを見ると日本にも熱狂的ファンがいるようである。私は今までベルンハルトを読み通せたことがない。本書『昏乱』をなぜ最後まで読めたのかは私にもよく分からない。単に意志だけの問題だろうか。ちょっとした一行が蝶番のような役割を果たし、文脈の方向や流れがあっという間に変わっていくので、どんな細部も読み落とせない。文圧の高い文章である。 句点が少なく、一つの単語に長い形容語句が被さるのも読みにくさの要因を作っている。一方でこうした特徴は癖にもなる。途中、集中力が途切れ文脈からふり落とされるこ

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