『まっとうな経済学』、『統計で騙されない10の方法』など、経済に関する数々の著書で知られる英経済コラムニストのティム・ハーフォード。 彼は、今回も英紙「フィナンシャル・タイムズ」のコラムで、今起きている物価上昇は一般的な「インフレ」とは異なり、求められる対策も違うという。何が問題なのか、ハーフォードが解説する。 物価上昇には2つの要因がある インフレとは何だろうか。それはモノがより高価になることで、悪いことだ。 しかし、ミルトン・フリードマンは異なる見解をしている。非常に影響力のあるこの経済学者は、1963年の講演でインフレを「物価の安定的かつ持続的な上昇」と定義した。さらに「インフレはいつどこで起きようが、貨幣的現象に過ぎない」と述べている。 この見解の違いは重要だ。その違いを明らかにするため、2つのシナリオを考えてみよう。どちらのケースでも過去1年間に消費者物価が10%上昇したとする。