イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区への侵攻がやまず、国際社会からの非難が強まっている。そうした中、広島市が8月6日の平和記念式典にイスラエルを招待することに波紋が広がっている。高橋宗瑠・大阪女学院大教授(国際人権法)に聞いた。【鵜塚健】 「人権の危機起きている」 ――ガザ地区の情勢についての受け止め方を。 状況は悪化するばかりだ。これまでイスラエルは、大規模攻撃の際にいろいろ理由をつけてきたが、最近はそうした釈明もしなくなった感がある。多くの民間人が犠牲になり、明らかに国際法を守っていないのに、開き直っている印象だ。イスラエルは食糧や水、薬のガザ地区への搬入も極めて制限しており、現地ではポリオなどの病気もまん延している。 犠牲者数は少なくとも3万9480人(8月1日現在)とされるが、病気やインフラ破壊などで間接的な死者が増え、英医学誌「ランセット」は約18万6000人に上ると推計して