「タカギにおっぱいぎゅうされた」娘が性被害を告白 ゆっくりと上がるエレベーターの扉が開くと、記憶のよどみを押し流すように、潮風が吹き抜けた。ベランダ側に広がる海辺では花火が舞った。引っ越してきた日は、ちょうど周辺の花火大会が重なった。 「お母さん、花火が二重に見えるなんて、すごいよ」 ベランダではしゃいだ娘たちの声がよみがえる。あの時は、新しい街から祝福を受けているようだった。海沿いでは高層マンションの開発が進む。マンションを取り囲むヤシの木の先に、小学校の体育館がのぞいた。 あれから何年が過ぎただろうか。 新しい街で穏やかに育んできた家族の営みが、娘の被害を証明するという、長い闘いの日々へと変わったのは七夕の金曜日。学校から戻ってきた娘の告白だった。 ピン、ポーン――。 「おかえり」と言いながら、玄関の方に向かうと、聖子(編集部注:以下全員仮名)の声が耳を突き刺した。 「きょう、タカギに