この記事には映画『ミッドサマー』の完全なるネタバレが含まれる。 批評家に絶賛された2018年の『へレディタリー/継承』に続けてアリ・アスター監督が手がけた新作『ミッドサマー』は、『ウィッカ―マン』をはじめとしたフォークホラー映画へのオマージュであり、死に彩られた童話であり、復讐願望を満たすファンタジーでもある。『ミッドサマー』はスウェーデンの奥の、奥の、さらに奥地にある架空の村を舞台にしており、主人公であるアメリカ人の若者たちはその村で90年に一度開かれるお祭り“ホルガ”に招待される。一風変わったゲーム、エキゾティックな食べ物、奇妙な伝統……、村人に促されるままにすべて体験していく若者たちは、やがて何かがおかしいことに気がつく。 不健全な恋愛関係 『ミッドサマー』の冒頭で主人公のダニ(フローレンス・ピュー)は考えうるかぎり最悪の悲劇を経験する――自殺願望があり、昔から危険なサインを発してい