所は現代の東京。下町の片隅を舞台に、狼眷族『グロウ』と狐眷族の『甚六』が織り成す、面白おかしな物語……。今回のお話しは、好奇心の旺盛な《見習い眷族》の仔猫ちゃんが、スピリチュアルな扉を開け始めた様子をご案内します。 狐語り……《見習い眷族》から視た先輩『眷族』との御縁についてこんにちは、私は猫です。何故か記憶が定かでなくてすいません。 硬い石みたいな地面の上で目が覚めて、困っていたところをグラウさんという名の灰色の狼に誘われて、人間の暮らす街並みを通って甚六さんという名前の狐のいる祠に来ました。 甚六さんは銀色の大きな狐の姿と、神主さんみたいな衣装の人の姿を持っていて、「どちらの姿が話しやすい?」と聞いてくれたので、「人の姿がいいです。」と答えました。目が覚めるまでの記憶は無いけれど、おそらく私は人に飼われていた猫なので、人の姿に安心を感じるのだと思います。 悲しい事に私がいた時代はもうと