後に音楽業界に大きな変革を起こすきっかけとなる、ヤマハの音声合成システムVOCALOID(以下ボーカロイド、ボカロ)。ブームの火付け役となったのが、クリプトン・フューチャー・メディアから発売されている「初音ミク」だ。 同社からはMEIKO・KAITOという2つのボカロが先行していたものの、販売本数が伸びず、初音ミクを最後にボカロプロジェクトは終わりを迎える機運すらあった。 しかし2007年、「キャラクター・ボーカル・シリーズ」の第1弾として初音ミクの発売が開始すると、瞬く間に大ヒット。断念しかけていたプロジェクトは息を吹き返し、やがて鏡音リン、鏡音レン、巡音ルカ、また各種の追加ライブラリーや拡張音源を展開するに至る。 初音ミクがもたらしたものは合成音声だけではない。「初音ミクを奏でたい」「初音ミクを描きたい」「初音ミクを動かしたい」「初音ミクを演じたい」――様々なクリエイターが初音ミクを通