文明が開化し日本各地に印刷業が成立し始めてから20年ほどが経過した明治半ば、様々な産業で同業者組合が結成されていく中で、印刷業の世界でも概ね都道府県を1つのまとまりとする同業組合が成立していった。 昭和戦前期や高度経済成長期、あるいはコールドタイプ化などの時代の節目に「〇周年」を迎えることとなった各地の印刷同業組合の多くが、記念事業として「〇〇印刷史」「××印刷文化史」といった記念誌を発行している。単なる組合の歴史を超え、大なり小なり地域の印刷史・印刷文化史を扱ったものになっている。 近世から出版の三都と呼ばれた京都(『京都印刷一千年史』)大阪(『大阪印刷百年史』)江戸(『京橋の印刷史』)のものは別格で、とりわけ“我々こそが近代日本の印刷業界を牽引してきたのだ”という自負とともに編纂された『京橋の印刷史』は、日本全体を扱う細かすぎる年表が整備されていることからか、近隣諸分野から参照されるこ