こういう小説が読みたかった 高山羽根子『オブジェクタム/如何様』は最高の作品集である。私はこれを読みながら何度も「うわーっ!最高だ!」と叫びたくなってしまい、とはいえ実際に叫ぶことはせず一人で拳を握りしめたり部屋をうろうろ歩き回ったりするにとどめたのだが、しかし、いざどのように最高なのか人に説明しようとしてもなかなか難しい。 私はこの本に入っている、特に表題作である「オブジェクタム」「如何様(イカサマ)」の二編を読んで、「こういう小説こそが、自分が読みたいと思っている小説なんだよな」としみじみ感動してしまった。 オブジェクタム/如何様 (朝日文庫) 作者:高山 羽根子 朝日新聞出版 Amazon とりあえず事実関係から紹介していこう。高山羽根子は「うどん、キツネつきの」で2009年に創元SF短編賞の佳作を受賞してデビュー、そして2020年に『首里の馬』で芥川賞を受賞している。つまりSFから