マンガ好きなら誰しも、心の中に“自分だけの名作”を持っているはず。誰かが特別だと思ったその作品は、ほかの誰かにとっても特別なものになりうるのではないだろうか。そんなマンガをもっと知りたいという思いから、コラム「私の名作」はスタートした。 このコラムでは人一倍マンガを読み、また紹介してきたであろう人々に「あなたが名作だと思うマンガは?」と問いかけ、とりわけ思い入れのある、語りたい1作を選んで紹介してもらっている。第2回では東北芸術工科大学で教鞭をとるトミヤマユキコ氏が、自分の生き方の指針になったという、安田弘之の「ちひろ」「ちひろさん」を語ってくれた。 文 / トミヤマユキコ 完璧な人間になんか、なれなくていい小さい頃から“みんなと一緒”が下手くそだった。転校生だったせいか、はたまたひとりっ子だったせいか、なんとなーくみんなの輪から外れがち。がんばってみんなの中に入っていっても、長続きしない