痛(いた)みの研究によりますと、痛みは急性(きゅうせい)疼痛(とうつう)と慢性(まんせい)疼痛(とうつう)の二種類に分けられ、急性疼痛は身体のどこかに痛みの原因があり、その原因を除去することで痛みも消えるのに対し、慢性疼痛は原因を除去しようと試みても消えない痛み、充分に解明されていない痛みをそう呼んでいるのだそうです。この慢性疼痛にはたとえば、何軒かの病院を診察ではしごしても原因がわからない痛みも含まれます。この痛みについて研究者は、「過去の痛みの記憶が、何らかのきっかけで現在に呼び戻された状態もあるだろう」と指摘しています。 わたしにとって痛みの記憶とは、幼児期のケガなど肉体的な痛みだけでなく、少年期に人と衝突して味わった胸の痛み、青年期の挫折、生活環境の変化、人生観を変えざるをえなかった出来事、そして家族友人や恩師との死別が思い浮かびました。しかし、もっとたくさんあるはずなのに思い出せ