風邪を引くのは悪くない。むしろ年に一度や二度は風邪を引くべきだ。そのほうが体は強くなるし定期的に抵抗力がアップデートされる。これは持論である。だから風邪を引くことはかまわない。 しかしよりによってだ。今日は木曜日である。 午後に入ったころから腰と股関節に鈍痛が感じられた。それが時間を追うごとに重みを増していく。「寒い?」同じ部屋で仕事をしている同僚にそうやって聞くと、「寒いですよ、今日は」という。最低気温の底を更新し、雨がときおり降る日差しのない一日は、寒い日なのか自分の寒気がそうさせているのか区別がつけられなかった。鼻の奥から伝わるような頭の痛みもつらかった。「明日はもっと寒いらしいです」同僚はそう付け加えた。 定時になると僕は同僚に今日はこれで上がるよといった。なんだか熱っぽい気がすると伝えた。 「明日、さらに寒いらしいから無理しないで休んだほうがいいですよ」 僕はありがとうといい、今