マルグリット・デュラスの『愛人(ラマン)』がゴンクール賞をとり、日本でもベストセラーになったのは1985年のことで、ほどなく映画化もされヒットした。デュラスは私小説作家ではないが、自分が14歳のころインドシナでシナ人富豪にカネで買われていた経験を描いたものである。 のちに私はマーゴ・フラゴソの『少女の私を愛したあなた』という告発文を読んで、これだとペドファイルで非難になるのに『ラマン』が文芸作品扱いされるのはどういうわけか、と書いたが、どうやら最近ではデュラスは自分を対象とする小児性愛を肯定したと批判されるようになったらしい。 これというのも昨年、フランスの作家マツネフというのが、少女をセックスの対象にしていたのを批判されてからで、(「同意」 ヴァネッサ・スプリンゴラ 著, 内山奈緒美 訳. 中央公論新社, 2020.11)、当時フランスの知識人らが、少女との性愛はOKだという署名をしたと