奈良大学博物館(奈良市山陵町、TEL 0742-44-1251)は現在、企画展「板木と版本-藤井文政堂旧蔵の板木から-」を開催している。 「新板繪本若艸山」版本 板木は印刷のために文字や絵などを彫りつけた木版。あんま技術の解説書「按腹図解(あんぶくずかい)」など、5作品の版本を板木とセットで展示、初公開する。 「新板繪本若艸山(しんぱんえほんわかくさやま)」は、江戸時代中期の浮世絵師・西川祐信作で、宇治川の蛍狩りや年末風景など、四季折々の京都の暮らしを描いた作品。女性や子ども向けの教養書として人気だったと言われている。この板木は、同学・永井一彰名誉教授が、2002(平成14)年に京都の古書店・藤井文政堂の倉庫で発見したもので、8枚の板に上中下巻の計32枚の版が彫られている。当時の絵本の板木が丸ごと一組残っている例はなく、浮世絵発展の歴史や当時の出版事情を考える上で貴重な資料という。 水野元