確か、10年ぐらい前だったと思う。 4巻目が出た頃に読み始め 続刊が書店に並ぶたび、最初から読み直した。 その後も、ほぼ年一回のペースで再読していたので 今回(2021年3月)で、少なくとも二けたの大台には乗ってるはすだ。 いかに忘れっぽくなったとはいえ、そこまでリフレインしていれば 各エピソードの内容も、クライマックスなどの名場面も くっきりと頭の中に刻み込まれている。 そのため1週間ほど前に、第一巻の表紙と対面したときには "さすがにもう「新発見」とか、ないよなぁ……。ナツメロ感覚でのんびり楽しもう" などと、半歩引いたスタンスで読み始めた。 ところがどっこい。 そうは問屋が卸してくれなかった。 "あー、はいはい、そうだったねー"と冷静に構えていたのは せいぜい第一話の半ばまで。 早くも、葬儀の場にシャチ姉が登場するシーンでは がっちりと読者心を鷲掴みされていた。 そして、第一巻「蝉時