共通テストも終わり、悠真は自室の机に座り、ぼんやりと進路資料を眺めていた。志望校への進学が決まり、もう何も心配する必要はなかった。ただ、心の奥底に消化できない思いがずっと引っかかっていた。 「このまま、高校生活を終えるのか……」 窓の外には穏やかな冬空が広がっている。悠真は、自分の胸の内にずっと隠してきた思いを振り返っていた。誰にも話せなかったが、自分は女装に興味があった。初めてそれに気づいたのは中学生の頃。女物の服を見るたび、「着てみたい」という感情が湧き上がったのだ。しかし、それを打ち明ける勇気はなく、高校生活も何事もなく終わろうとしていた。 その夜、姉の美月がふと声をかけてきた。 「悠真、何か悩んでるの?最近、なんだか元気ないよね。」 「えっ、いや……別に……」 視線をそらしながら答えるが、美月はじっと悠真を見つめてくる。 「本当に?小さい頃から、悠真の考えてることくらいわかるんだか