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認知機構の検索結果1 - 9 件 / 9件

  • 人はなぜ宗教を信じるように進化したのか|河田 雅圭

    本稿は、人が超自然的存在を信じたり、宗教を信仰したりするようになぜ進化したのかを、認知心理学、脳神経科学、遺伝学、進化学などの研究成果をレビューして、独自に考察したものです。 なぜこんなにも多くの人が宗教や超自然的存在を信じているのだろうか 正月、近所の神社に行くと、厄年を迎える人の生まれた年が大きく看板に書かれている。私は、宗教や神の存在は全く信じていないが、看板に書かれた年が自分の生年と一致していると、何の根拠もなく今年は病気に気をつけようとか、お守りぐらい買っておこうか、などと一瞬考えてしまう。これは、人を宗教にひきつける、人間の心理をついた「うまいやり方」である。将来への得体の知れない不安に対して、超自然的なものに頼ろうとする人間のもつ心理的特徴が宗教心を創り出しているのだろうと漠然と考えることができる。 現在、全世界の80%以上の人が宗教あるいは霊的な存在を信じているという(1)

      人はなぜ宗教を信じるように進化したのか|河田 雅圭
    • 『暴力の人類史』のピンカーが語る、理性と共感によって未来がより豊かになっていく根拠──『21世紀の啓蒙:理性、科学、ヒューマニズム、進歩』 - 基本読書

      21世紀の啓蒙 上: 理性、科学、ヒューマニズム、進歩 作者:スティーブン ピンカー出版社/メーカー: 草思社発売日: 2019/12/18メディア: 単行本この『21世紀の啓蒙』は、『暴力の人類史』で一躍その名を轟かせたスティーヴン・ピンカーによる啓蒙の啓蒙の書である。ピンカーのいうところの啓蒙主義は、『わたしたちは理性と共感によって人類の繁栄を促すことができる』ことに原則をおく。 そして、本書でピンカーは、これまで世界は一時的な停滞や後退こそあれど、全体的には理性や共感、科学にヒューマニズムで進歩してきたし、これからもするだろうという「啓蒙主義」が間違っていないのだと擁護・主張する(だから啓蒙の啓蒙の書なのだ)。だが、ピンカー自身が『二〇一〇年代後半は、進歩の歴史とその要因について本を出すのにいい時期だとは思えない。わたしがこの本を書いている今、わが国、アメリカ合衆国はこの時代を否定的

        『暴力の人類史』のピンカーが語る、理性と共感によって未来がより豊かになっていく根拠──『21世紀の啓蒙:理性、科学、ヒューマニズム、進歩』 - 基本読書
      • コウディ・モウザ「他の動物種たちへの共感の起源について」(2023年2月27日)|経済学101

        わたしたちは,自分のエモノたちの目をとおして世界を見るすべを身につけている――ひとえに彼らを食すために「感じるかい?」 「なにを?」 「いかに強欲な捕食者に我が身が変わっているのかをさ.まるでオオカミのようにね.もっと多く,さらにもっと仕留めてやろうっていう,この欲求があるんだ.家畜小屋が200棟あっても満足しない,だろ? まるで悪魔だ」――そう言って,彼は無言になった.少し経ってから,彼は言葉を継いだ.「どうだろう,ちょっと落ち着いて,1週間かそこらでも狩りをやめないか.」 – Rane Willerslev, Soul Hunters食料が底をついたら,あなたは自分の飼い犬を食べるのをためらうだろうか? どこかの無人島に流れ着いたとして,家族の愛猫を切り分けて飢えを満たす方法を考えはしないだろうか? 飼い犬や飼い猫のような動物たちと,牧場にいる動物たちとを隔つものは,なんだろう? きっ

          コウディ・モウザ「他の動物種たちへの共感の起源について」(2023年2月27日)|経済学101
        • 人類の理性と共感を信頼するピンカー『21世紀の啓蒙』から国家の自由を問う『自由の命運』などを紹介(本の雑誌2020年4月号掲載) - 基本読書

          まえがき 本の雑誌2020年4月号に掲載された新刊めったくたガイドの僕が書いたノンフィクションガイドをここに転載します。この号は非常な大作揃い。 この本が日本で刊行された後に色々と騒動が持ち上がったスティーヴン・ピンカーの大作『21世紀の啓蒙』からはじまって、自由と国家のパワーバランスについて論じたダロン・アセモグル、ジェイムズ・A・ロビンソンの『自由の命運』。ジェームズ・C・スコットによる国家の成立過程の実際を解き明かす『反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー』も人類史スケールの本で、壮大なスケールの本が立ち並ぶ。 マックス・テグマーク『LIFE 3.0 人工知能時代に人間であるということ』も「宇宙の熱的死に、未来の人工知能や超知能はどうやって対応するだろうか?」や「銀河サイズのAIはどのように思考するか?」と遠い未来に起こり得る技術的な課題について検討してみせる壮大な一冊だ。 新

            人類の理性と共感を信頼するピンカー『21世紀の啓蒙』から国家の自由を問う『自由の命運』などを紹介(本の雑誌2020年4月号掲載) - 基本読書
          • 進化的視点からみる人間の「多様性の意味と尊重」|河田 雅圭|note

            本論考は『東北大学教養教育院叢書「大学と教養」第4巻 多様性と異文化理解』  (東北大学教養教育院編/東北大学出版会/2021年)の第1章として寄稿したものを、東北大学出版会の許可を得て、web公開し、多くの方に読んで頂けるようオープンアクセスとしたものです。ここでは、本書原稿に追加・修正された文章を公開しています。引用は[河田雅圭 (2021) 進化的視点からみる人間の「多様性の意味と尊重」『東北大学教養教育院叢書「大学と教養」第4巻 多様性と異文化理解』 pp.3-28, 東北大学教養教育院編/東北大学出版会]でお願いします。 本稿では、人間の進化史や、進化についての基本的な考え方を紹介した上で、現在の進化学や脳神経科学の進展をもとに、人間の多様性はどのように生じ、維持されているのか、また、人間は多様性をどのように認識し、区別あるいは差別するように進化したのか、という点を考察しています

              進化的視点からみる人間の「多様性の意味と尊重」|河田 雅圭|note
            • コウディ・モウザ「他の動物種たちへの共感の起源について」(2023年2月27日)

              わたしたちは,自分のエモノたちの目をとおして世界を見るすべを身につけている――ひとえに彼らを食すために わたしたちは,自分のエモノたちの目をとおして世界を見るすべを身につけている――ひとえに彼らを食すために 「感じるかい?」 「なにを?」 「いかに強欲な捕食者に我が身が変わっているのかをさ.まるでオオカミのようにね.もっと多く,さらにもっと仕留めてやろうっていう,この欲求があるんだ.家畜小屋が200棟あっても満足しない,だろ? まるで悪魔だ」――そう言って,彼は無言になった.少し経ってから,彼は言葉を継いだ.「どうだろう,ちょっと落ち着いて,1週間かそこらでも狩りをやめないか.」 – Rane Willerslev, Soul Hunters 食料が底をついたら,あなたは自分の飼い犬を食べるのをためらうだろうか? どこかの無人島に流れ着いたとして,家族の愛猫を切り分けて飢えを満たす方法を考

                コウディ・モウザ「他の動物種たちへの共感の起源について」(2023年2月27日)
              • ビール酵母の進化とビールの多様化|河田 雅圭

                私は、基本的にお酒はビールしか飲まない。以前はラガービール(サッポロ黒ラベル)が定番だった。しかし、最近のお気に入りはIPA(インディア・ペールエール)、それも少しアルコール度数の少ないセッションIPAである(たとえば"Coedo 毬花"や"ホップ農家と醸造家が奏でるSESSION IPA"など)。IPAは、ホップを大量に使用した、爽やかな苦みのきいたビールだ。私がビールについて少し調べてみようと思ったのも、IPAを飲んで、クラフトビールのおいしさにはまったことが切っ掛けである。 人類がアルコールをいつから口にするようになったかは定かでないが、ビールのようなアルコール飲料を飲むようになったのは、少なくとも小麦や米栽培などの農耕が開始されて以降のことである。それ以来、今日に至るまで、ビール酵母は進化し、ビールの種類も多様化してきた。同時に、人類もアルコールに対する代謝や嗜好性も進化してきた(

                  ビール酵母の進化とビールの多様化|河田 雅圭
                • MRI画像のAI解析などで利用できる「脳画像ビッグデータ」を公開 国際電気通信基礎技術研究所ら研究グループ

                  国際電気通信基礎技術研究所(ATR)と東京大学、日本医療研究開発機構(AMED)は2021年8月30日、複数疾患の脳画像ビッグデータを一般公開したと発表した。多くの施設で統一のプロトコルで撮像した複数精神疾患のfMRI(functional Magnetic Resonance Imaging:機能的磁気共鳴画像)データと、旅行被験者データを合わせてデータベース化したもので、オンラインプラットフォームでダウンロードの申請ができる。 ビッグデータ公開に携わったのは、ATR脳情報通信総合研究所の田中沙織氏(認知機構研究所 数理知能研究室 室長)と、東京大学大学院医学系研究科/東京大学国際高等研究所の笠井清登氏(ニューロインテリジェンス国際研究機構<IRCN> 教授)らの研究グループ。 MRI画像をAIで解析するためのデータとして利用 研究グループによると「AI(人工知能)技術の発展には、オープ

                    MRI画像のAI解析などで利用できる「脳画像ビッグデータ」を公開 国際電気通信基礎技術研究所ら研究グループ
                  • 【記事更新】私のブックマーク「擬人化メディアとHuman-Agent Interaction:「情熱」のあるやり取りを目指して」 – 人工知能学会 (The Japanese Society for Artificial Intelligence)

                    Home » リソース » 私のブックマーク » 【記事更新】私のブックマーク「擬人化メディアとHuman-Agent Interaction:「情熱」のあるやり取りを目指して」 米澤 朋子(関西大学総合情報学部,(株)国際電気通信基礎技術研究所深層インタラクション総合研究所) 目次 はじめに 擬人化メディアとは <導入> 擬人化メディアの位置付けと現状 <夢・社会的影響> 擬人化 擬人化の起源としくみの理論 志向姿勢 アニマシー知覚と不気味の谷 心の知覚と身体(生理) 共感と擬人化 擬人化システムの構成 身体性としての外観(表出機構) 知能(内部/AIデザイン) フィールド応用と発展、製品 HAIにおける状況 他分野との相互作用、およびHAI研究の体系化の難しさ HAIにおける課題 HAIに関連する学術コミュニティ 会議系 その他国内会議や研究会などローカル系 研究プロジェクト・組織系

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