ドラマ「虎に翼」(NHK)のヒロインのモデルとして一躍、多くの人に知られた女性法律家の草分け、三淵嘉子。弁護士の佐賀千惠美さんは「嘉子さんは定年退職後に転移性の骨がんであることが判明。痛みを伴うたいへんな闘病生活を送った。しかし、法律家の仕事に情熱を注ぎ、実力を発揮できた人生は幸せだったのではないか」という――。<前編から続く> 68歳で骨がんが見つかり、裁判所の仲間はショックを受ける 嘉子さんが病に倒れたという知らせは、法務省・裁判所の仕事仲間をはじめ、女学校時代からの友人たちなど嘉子さんを慕う人たちに衝撃を与えます。 嘉子さんを見舞いに病院に来てくれた人に、嘉子さんが「がんなの」と率直に伝えると、聞いた人のほうがショックを受けてしまったため、それからは「悪性なの」としか伝えないことにしました。 労働省にいた高橋久子さんがお見舞いに行った際には、嘉子さんが座長を務める「婦人少年問題審議会