訓読 >>> 3270 さし焼かむ 小屋(こや)の醜屋(しこや)に かき棄(う)てむ 破(や)れ薦(ごも)敷きて うち折らむ 醜(しこ)の醜手(しこて)を さし交(か)へて 寝(ね)らむ君ゆゑ あかねさす 昼はしみらに ぬばたまの 夜(よる)はすがらに この床(とこ)の ひしと鳴るまで 嘆きつるかも 3271 我(わ)が心焼くも我(わ)れなりはしきやし君に恋ふるも我が心から 要旨 >>> 〈3270〉焼き払ってやりたい汚らしい小屋に、放り捨ててやりたい破れ薦を敷いて、へし折ってやりたい薄汚い腕と腕を交して今ごろ寝ているだろうあなたを思い、昼は終日、夜は夜通し、私の寝床がみしみし音を立てるほどに、私は悲しく泣いている。 〈3271〉私の心を焦がすのも私のせい、あなたを恋しく思うのも私の心のせい。 鑑賞 >>> 浮気をしている夫と相手の女に対する激しい怒りの歌です。「醜」は汚いものをののしって