脱炭素社会への転換をどのようにして進めるのか。暮らしにも密接にかかわる地球規模の難題について「くじ引き」で選ばれた市民が話し合いを重ね、国や自治体に政策提言する試みが、欧州から日本へ広がりつつある。【八田浩輔】 「『温室効果ガス排出実質ゼロ』の目標をどのように実現すべきでしょうか」「『気候市民会議』に参加して、一緒に考えてみませんか」。2020年9月、札幌市の住民基本台帳から無作為で選ばれた16歳以上の市民3000人に、そんな文言が書かれた案内状が送られた。このうち48人から参加希望があり、札幌の「縮図」となるように年齢や性別のバランスを考慮して10~70代の20人が選ばれた。 無作為抽出(くじ引き)で募った日本で初めての気候市民会議は、北海道大学などが研究プロジェクトとして試行し、札幌市も協力した。札幌市は同年2月、政府に先駆けて50年までの温室効果ガス排出実質ゼロ目標を独自に打ち出して