この20年近くにわたって、日本を縛り続けてきた言葉に「ガラパゴス」というものがある。携帯電話の標準化で、日本が「独自進化」を遂げたことを、東太平洋の島々の生態系になぞらえたことが発祥だが、それが転じて、あらゆる分野で「世界の潮流から取り残される日本」を揶揄する言葉として浸透した。 だが、この数年、米国を拠点に取材を続けるなかで痛感しているのは、もうこの言葉をネガティブな文脈で使う必要はないのではないか、ということだ。もちろん、日本独自の信じられないような規制など問題は山積しているのだけれど、少なくともカルチャーの領域では、実際のガラパゴス諸島が世界で類をみない固有種を育んだように、日本で独自進化を遂げたモノやコトにこそ栄華のチャンスがある、という確信を日々強めている。 世界でもヒットを生み出す方程式 端的にいえば、小手先で海外の需要に合わせに行くより、日本国内で徹底的に研ぎ澄まされ、消費者