編集工学研究所のCOREの本棚には、ぶ分厚いファイルがならんでいる。「暦象データベースによる編集航行型研究教育システム 実証実験報告書」という。なんともいかめしいタイトルがつけられたそのファイルの正体は、1999年から行われてきたCRONOSシステムの実験授業報告書だ。手のひらほどある厚さが、実験の凄さを物語る。話は10年前にさかのぼる… 時代がデジタル化社会の到来を告げるころ、来るべき情報社会における文化発信を構想していたNTTは、人間とメディアの積極的なかかわりをテーマにしたシアターを立ちあげようとしていた。このシアターはオープン後に「NTTインター・コミュニケーション・センター(ICC)」と呼ばれることになるのだが、この計画に参加していた編集工学研究所は、先に出版された『情報の歴史』を核に据えたマルチメディア・データベースの提案をすすめ、プロトタイプ開発に着手しようとしていた。199