全てのお酒には造り手がいて、売り手がいて、そして飲み手がいます。地酒の「地」を考えるこの連載、前回の記事で注目したのは、造り手が追求する「地」である「原材料」でした。 今回は「売り手」と「飲み手」について、そのなかでも日本酒の「流通と消費」の地域性について考えてみましょう。仮に造り手が究極の「地酒」を謳っても、地元ではそれを買えず、誰も飲んでいない、となればそれを「地酒」と呼べるのか、疑う人もいるでしょう。流通・消費は地酒の「地」を考えるうえで重要なテーマと言えそうです。 また流通・消費は次回のテーマである「経済」とも密接に関わっています。その関連性にも触れながら、流通・消費の地域性にはどのような要素があるのか、分析してみます。 物流 - 時代によって変わる、地域性への影響「流通」という言葉は、大きく「物流」と「商流」に分けることができます。初めに流通の一つ目の要素である、地酒の物流につい