オーディトリウム渋谷で「濱口竜介レトロスペクティヴ」が開催されている。本サイトでも取りあげた『PASSION』(08)や、韓国の俳優キム・ミンジュンを主演に迎えた『THE DEPTHS』(10)、被災者の証言を記録することに徹した震災ドキュメンタリー『なみのおと』(11 酒井耕と共同監督)など、この作り手はこれまでにもすぐれた作品を世に送り出してきた。ただ、その実力に反して一般の商業作はまだ一本もないことから、彼の作品を見る機会は限られてきたが、今回の特集上映は未見の観客にとって絶好のチャンスと言えるだろう。 そして、今回お披露目となる最新作『親密さ』は、劇団員が舞台公演に向けて稽古を続ける日々を描く第一部と、その舞台を撮影した第二部とに分かれ、4時間半におよぶ大長編となっている。この映画は、なぜこれほど複雑な構成と長大な時間を必要としたのか。また、そこで描かれる若者の群像にはどのような思