■津波の立場で考えなさい 東日本大震災では「想定外」という言葉が何度も使われている。予想を超えた大津波は、三陸海岸の町や村、漁港を次々とのみ込み、福島県では原子力発電所を破壊し、放射能汚染をもたらした。この原発事故について「失敗学」という独自の学問を提唱する工学博士が考察する。(文 木村良一) ◇ --失敗学とは何ですか 畑村 人間が何かの活動をすれば、失敗は起こる。嫌でも起きてしまう。失敗は人間の活動について回る。失敗をしてはならないとか、悪いことのように決め打ちするのではなく、一番大事な結果だと考える。それが失敗学だ。 --失敗には2つあると指摘されていますね 畑村 はい。許される失敗と許されない失敗。手抜きやインチキ、欲得で自分が得しそうだと思う方向へ流された結果として生じる失敗は許されない。しかし世の中には許される失敗、許すべき失敗もある。 --