高橋コレクション 白金(港区白金3-1-15 2階) 「鴻池朋子 『私の作品は他者のもの』」 1/19-3/1 この美しさに付け加える言葉は殆どありません。「みみお」シリーズも印象深い、鴻池朋子の個展です。 ともかく圧巻なのは、表題のインスタレーション、「私の作品は他者(ひと)のもの」(2006)でしょう。赤いロープが縦横無尽に駆ける空間に閉じ込められるかのようにして佇んでいるのは、眩しいばかりに煌めくガラスの毛皮を纏った一匹の狼です。口からは生々しいガラスの唾液を垂らし、尻尾を靡かせながら、その立派な体躯を誇示するかのようにして悠然と構えています。光り輝くライトを浴びて、暗がりにぽっかりと浮かび上がるその姿は、まさに宝石で出来た狼の彫像とも言えるでしょう。体を包む一種の光の粒を床一面に振り落として、実に稀有な美の空間を構築しています。寒々しい雪山の最奥部にて、ただ一匹、孤高に生きる狼のイ