メキシコ、オアハカ原産の毒サソリを手にのせる生物学者のシプリアノ・バルデラス・アルタミラノ氏。(PHOTOGRAPH BY MARA SANCHEZ RENERO) 世界保健機関(WHO)によると、毎年14万人近くが毒ヘビにかまれて命を落としており、その多くは抗毒血清があれば救うことができたという。2017年、WHOはヘビ咬傷を「顧みられない熱帯病」のリストに加えた。 そんななかメキシコは、ヘビ毒やサソリ毒による死者の数を激減させることに成功した。また同国は、これまでに十数種の抗毒血清を開発・改良し、ビオクロン研究所、ビルメックス、イノサン・バイオファーマの3社を通して世界各国に提供している。 メキシコはいかにして抗毒研究の先端におどり出ることができたのか。そこからは、生物毒による死者の多い途上国における悪循環を断ち切るヒントが見えてくる。
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