日米両政府が1996年4月、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の全面返還に合意して12日で25年となる。「5~7年以内」とされた返還だが、県内移設が条件とされ、今も実現していない。市街地にある普天間飛行場の周辺住民は米軍機による騒音や事故に悩まされ、返還への市民の期待は冷めきっている。政府は米中対立を背景に「唯一の解決策」とする名護市辺野古への移設に固執するが、埋め立て予定海域での軟弱地盤発見などで工事は難航し、先行きはなお不透明だ。 1日平均32回の「爆音」 普天間飛行場のフェンスに隣り合う宜野湾市の上大謝名(うえおおじゃな)さくら公園。4月上旬、芝生を走り回る子供たちの真上を米軍機がごう音を響かせて通り過ぎた。公園は滑走路の延長線上にある。「怖い」。男児は足を止めて空を見上げた。 約10万人が暮らす市の面積の約24%を占める普天間飛行場。周辺に住宅が密集し、日夜、騒音と事故の危険にさら