英国よりエスタブリッシュメントの餌食になる日本 新自由主義の波に呑み込まれた英国。その背中を日本はひたすら追いかけている 白波瀬 達也 桃山学院大学社会学部准教授 気鋭のジャーナリストによる新自由主義批判 「エスタブリッシュメント」。支配体制・特権階級などの訳語が当てられるこの用語は日本でもある程度知られているが、日常レベルで使われる機会は少ない。 一方、イギリスでは耳慣れた用語として定着している。著者のオーウェン・ジョーンズは、現代イギリスの不平等を象徴する存在として「エスタブリッシュメント」に注目し、いかに彼らが我が物顔で社会を牛耳っているかを明らかにしている。 本書の解説を始める前に著者の紹介をする必要があるだろう。 オーウェン・ジョーンズは1984年生まれの気鋭のジャーナリストだ。労働者階級が多く暮らすマンチェスター郊外のストックポート出身で、猛烈な反エスタブリッシュメントの家庭で