年功序列が崩壊する中、会社人生で転機を迎える時期はどんどん早まりつつある。 「理不尽な左遷にも理由がある」「左遷もまた人生のスパイスである」――。 話題の書『左遷論』の著者・楠木新さんと、『「穴あけ」勉強法』を刊行した当コラムの著者、河合薫さんが「左遷」をテーマに忌憚のない意見を交わす特別対談の前編。今回は、左遷のリアルなメカニズム、左遷のバリエーション、会社員が「左遷」という言葉を使う際の隠された心情などを話題に、話が進みます。 (編集部) 「左遷」は日本独特の言葉 河合:楠木さんが書かれた『左遷論』を読ませていただきまして、左遷という言葉は、組織の中にいる人から出てくる特有の言葉なんだなと感じました。 楠木:たしかにそうですね。左遷って、明確な定義があるわけじゃなくて主観的な言葉なんです。左遷であるか否かは、本人の受け止め方次第です。たとえば横滑りと思われる異動でも希望した部署でなけれ