自分自身と地続きの、ちょっと変わった若者たちに過ぎない彼らが、フタを開けてみたら、あれほどまでに驚天動地の犯罪を犯していたということのもたらした恐怖が、あの事件の根本的な驚きだった。 その意味では、連合赤軍による凄惨な山岳ベース事件や、革マルvs中核によるテロ殺人事件よりも衝撃は大きかった。 なぜというに、山にこもって軍事訓練をしていた左翼集団に比べて、オウムの人々は、ずっと「普通」に見えていたからだ。 本当に彼らが普通だったのかどうかについて言っているのではない。メディアが、カルト教団たるオウムの各種組織からの信者の奪還運動を報じている一方で、他方では、彼らを「普通の」「面白い」若者として扱っていたことを忘れてはいけないということを、私はお伝えしているつもりでいる。 実際、彼らは深夜のお笑い番組の中にレギュラーのコーナーを持っていたりもした。 麻原彰晃こと松本智津夫に限っていえば、当時の