日本でも2050年までの温室効果ガス排出の実質ゼロ化が宣言され、政財界が慌ただしく動き始めています。ただ「実質ゼロ」が達成できるのか、現在はまだ懐疑的な意見も。達成までのロードマップは? 私たち市民が行動すべきこととは? 専門家の話や第一線での動きをもとに、脱炭素社会の実現への道を考えます。 ■科学に基づく工程表を 東京大理事、グローバル・コモンズ・センター・ダイレクター、石井菜穂子さん(62) 昨年10月の菅義偉首相による「2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ宣言」。その「唐突感」に私はびっくりしました。 米国は気候変動対策を重んじるバイデン政権へ代わり、国際的には「実質ゼロ」の流れは加速している。日本政府の「宣言」は、待ちに待った「参戦」と海外からは受け止められました。しかし日本では、脱炭素化の国民的議論がそれまで盛り上がっていなかった。だから唐突感が否めなかったのです。 脱炭素化