子供の頃ドーデの『最後の授業』に感激した思い出がある。普仏戦争の結果、フランスのアルザス地方は1871年にプロシア領となる。そのプロシアが学校でドイツ語以外の言葉を教えることを禁じたため、最後となったフランス語授業の話だ。 ▼授業でアメル先生は、フランス語の素晴らしさを強調する。そして「ぼく」たちにこの言葉を決して忘れてはならないと諭した。なぜなら「民族が奴隷になったとき、国語さえしっかり守っていれば、自分たちの牢獄(ろうごく)のかぎを握っているようなものだから」だと言う。 ▼プロシア領化は、アルザスのフランス人には悲劇だった。それでもこれほど熱烈に民族や母国への愛を説く先生がいたことは、子供たちにとっては救いであった。どんなに勇気づけられたことかわからない。では現代の日本の子供たちはどうなのだろう。 ▼先日行われた日教組の教研集会の報道を見る限り、全く反対に思えてくる。例えば鳥取県の教師