------ ベートーヴェンの場合は,ピアノの精神がハイドンやモーツァルトよりも顕著にその音楽に織り込まれている。この同じ精神が後に,シューマンとブラームスの管弦楽作品を完全に支配することになる(残念ながら,その作品すべてが作曲家の良さを表すわけではなく,聴衆も楽しんで聴くことはできないものである)。リストが唯一持ち合わせた音色に対する本能によって,リストのピアノの精神は,オーケストラの中で新しく詩的な生命を再び呼び覚ますものとなった。 ------ こう語ったのはオーケストレーション(管弦楽法)の名手、リヒャルト・シュトラウス(1864~1949)だ(ベルリオーズ&R.シュトラウス著/小鍛冶邦隆監修/広瀬大介訳『管弦楽法』〔音楽之友社、2006年〕より引用)。この説明の前にシュトラウスは、交響的なオーケストラの起源が主にハイドンとモーツァルトの弦楽四重奏曲におけるポリフォニック(多声的)
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