「食べない人は、一切食べようとしない。水が入ることも拒否する人がいるんですよ。食べるけど、その後に吐く人もいます。食べない人に『食べなさい』と言っても、食べない。そのままにしておくと弱ってしまう。本当に困っています」 そう語るのは、栃木刑務所統括矯正処遇官の野田雅子看守長だ。栃木刑務所は、日本で最大規模の女子刑務所。摂食障害受刑者の数も、最も多い。 栃木刑務所 全国の女子刑務所では現在、拒食や過食を繰り返す摂食障害の患者の数が増えている。その現状や背景などを4回にわたって伝えるシリーズ2回目の本稿では、症状の重い患者の状況とその対応に当たる刑務官や医師らの悩みについて伝えたい(参考:シリーズ1回目の記事)。 「認知の歪み」とこだわり 野田によると、摂食障害の受刑者に、自分の状態を認識させるところから、刑務官たちの苦労は始まる。 摂食障害受刑者の対応について語る野口雅子看守長 摂食障害患者の