長田弘さんの樹の詩とエッセイ、日高理恵子さんの樹の画で編まれた詩画集『空と樹と』がきっかけとなり、2010年に牧野富太郎植物園で開催された「樹と言葉展」に関わらせていただき、冊子『樹と言葉』を上梓しました。 この企画展には、エクリ所蔵の「木」の本を八十冊展示しました(「木」を分解すると「八」と「十」になる)。それ以降も「木」にまつわる書籍は増え続けています。ここでは、「木林(きりん)文庫」と称し、エクリ「木の本棚」から毎週テーマに沿った「木の本」を、短いエッセイとともにお届けします。 「Ecrit - Relay Column」から生まれた長編連載。 中島敦に「文字禍」と題する、紀元前のメソポタミア地方、アッシリアを舞台にした玄妙な短編がある。私が書いていこうとしている『ウル ナナム』は、このアッシリアを滅ぼしたバビロニア王ナボポラッサルとその息子ネブガドネザルの治世、紀元前7世紀頃の話で