映画『ダークナイト(以下TDK)』において、バットマンの情報量がかなり少なくなっているのは間違いない。前回書いた「前作で表現されたバットマンっぽさの減退」もそうだし、両親を殺されて云々という前作での重要なバックボーンにも少しも触れられない。TDKのバットマンは、動機においては「よく分からんけどとりあえず【正義】に対して盲目的なモチベーションを持ってる人」くらいの描写に終始している。 これは、TDKにおいて意図的な部分でもあり、ある部分については問題点でもある。 前回や別のエントリで書いた通り、そもそもTDKはビギンズの続編の体をほとんど採っていない。「TDKの世界に何故バットマンみたいな人がいるか、気になる人は前作を見てね」くらいのものだ。 その上で、バットマンの描写が減ったこと自体は意図的なものだろう。TDKにおいてバットマンの役目は、デントと共に「正義」を体現する善玉として悪玉のジョー