「夢」。この言葉を嫌いな人はいないだろう。語る人と、語られる状況で、甘美にも、情熱的にも響く。 しかし、私自身の経験で言えば、自分の夢を声高に語る人間には、どこか欠陥があった。「おまえらは俺の夢だ!」「不良少年の夢」「母校の教師になるのが夢だった」と、夢を大安売りしていた元ヤンキー先生は、その夢をあっさりと捨てて権力に擦り寄り、ご立派なタカ派の政治家になられた。言動も顔つきも、同一人物とは思えないほど変貌した。 とある国道を車で走っていると、自民党の地方支部のポスターが1~2キロにわたって連なっていた。「夢を持って!」と書かれてある。大きなお世話だ。夢は他人から「はい、どうぞ」と与えられものではなく、「持つぞ!」と力んで手に入れるものでもない。悩んでいる青少年に向けたつもりだろうが、上から目線の暢気でおざなりなメッセージが腹立たしかった。 「夢」という言葉が大好きだった登山家が亡くなった。
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