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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/hosakanobuto (19)

  • 「マンガ規制条例可決」で表現を殺さないために

    ついに昨日、東京都議会会議で「マンガ規制条例」(東京都青少年健全育成条例)が可決・成立した。夕方の民放のニュースでは石原都知事が出てきて「当たり前だ」「騒ぎすぎ」「頭冷やせ」などと相変わらず尊大な物言いを続けている。また、メディアは、東京都青少年・治安対策部の掲げる「マンカ規制」を「過激な性表現のマンガは子どもには見せていいかどうか」という短絡的な切り口で報道し、他方で条例に抗議するマンガ家の声をはさんでいる。よくあるトリックだが、「過激な性表現のマンガを子どもたちに見せないようにするゾーニング」に、妄想たくましく「表現の自由」を振り回して抗議する愚かな輩という石原流のメディア操作の図式が目につく。こうした浅はかな流れに乗って垂れ流される情報の力=世論こそ、今回の都議会民主党内の「反対論」をねじ伏せた正体だ。 東京都ではすでに、「区分陳列」(ゾーニング)は行なわれている。『ドラえもん』

  • 表現と言論を殺す「劇薬」の中身は変わらない(都青少年条例)

    東京都青少年条例を今夜も考えてみたい。都議会民主党の条例改正案に対しての賛否は、明日にも定まるだろうと言われている。今や「文化不毛の地」をめざして警察官僚に青少年・治安対策部長の椅子を準備し、出版物規制を委ねようという石原慎太郎東京都知事と、都議会という閉鎖空間の中で封鎖されている条例の議論に、外からの批判の声がひときわ大きくなってきている。 角川書店が今回の「青少年条例改正案」に抗議して、来春開かれる『東京国際アニメフェア』への参加を取りやめることを表明した。マンガ家の同条例への抗議に対して「ある意味卑しい仕事をしているんだから、彼らは」(2010年6月定例記者会見)と悪罵を投げつける石原慎太郎東京都知事が実行委員長をつとめるというのだから、角川書店の投げ返した一石の意味は深い。角川書店に続くところも出てきているとも聞く。 この青少年条例が成立しないと「青少年健全育成」に悪影響が出るな

  • 東京都青少年条例の「マンガ規制」は何を狙うか

    今日、首都圏発売の『週刊朝日』に「石原慎太郎東京都知事が画策する東京都議会マンガ規制条例可決? の愚」と題する記事を書いた。東京都議会の民主党の姿勢が決まるのもあと数日で、もう余り時間の猶予がない。東京都青少年条例だから、ついその問題点も細かいところに行きがちだ。けれども、『週刊朝日』の記事は次のように始まっている。 石原慎太郎東京都知事(78)が『太陽の季節』で鮮烈な文壇デビューを果たしたのは1956年のことだった。旧世代に挑発的なこの作品は若者たちを熱狂させた。しかし、半世紀を経た今、石原知事は漫画などの性的描写を「不健全」として取り締まる条例の制定に乗り出している 作家としてデビューした当時、石原知事は雑誌のインタビューでこんなことを話していた 「おとなにとって罪にも見えるし、不倫にもみえるんだろうけれども、ぼくなんかの年代はおとながおぞましいと思うようなものに対して気がとがめないと

  • ふたたび東京都青少年健全育成条例改正案を考える

    東京都青少年健全育成条例の改正案の内容があきらかになった。これをうけて23日にtwitter(http://twitter.com/hosakanobuto)を舞台に、東京都青少年条例改正案について意見を求めた。今年の春以来、関心を集めていたこともあってたくさんの意見をいただいた。これらの声を受けて、まずは土台となる見解をいくつか書いてみた。その「つぶやき」を再録することとする。 ・皆さんありがとうございます。さきほどチェックをしたら、たくさんの皆さんから東京都青少年条例の修正案についての「御意見」をいただきました。今朝の新聞にも、都議会民主党で評価が二分しているとの記事が出ています。議論している時間は少なく、12月半ばの都議会で結論が出ることになる。 ・政治の世界で、一昔前には「青少年の健全育成」と言えば、そこのけそこのけ正義が通るという「最強のアドバルーン」だった。「非実在青少年」とい

  • 「東京都青少年条例」のパロディ演劇は「反社会的」か

    京都の若手劇団「笑いの内閣」が先月上演した『非実在少女のるてちゃん』と題する芝居が、石原東京都知事が物議をかもした「東京都青少年健全育成条例」をパロっていることを理由に、「反社会的である」として東京公演を申し込んだ劇場から使用を拒否されたと聞いて、驚いた。なぜなら、私はこの劇団の主宰者と先週会って、東京公演についての抱負を聞いていたからだ。ツイッターでこの件について触れると、反響が大きく拡がった。一連の経過をまとめて記すことにしたい。 高間響という若手演劇人がいる。参議院選挙の最中に彼は東京に現れて、9月に「東京都青少年健全育成条例」をテーマにした芝居をやるので、上演後のアフタートークに京都に来てほしいとの申し出だった。「どういう劇団かな」と一瞬思ったが、選挙が終わっていれば勝敗を問わず、いくらか時間もあるだろうとOKをした。その公演は、築100年の「京都大学吉田寮」で行なわれた。土日2回

  • 「表現規制」を都議会と国会で議論する素地が生まれた

    今日は、公認決定から一日目。あわただしく都内を駆け回る。 また午後9時過ぎからは、ビデオニュース『マル激』で、神保哲生さんと宮台真司さんと「東京都青少年条例」と「八ッ場ダム」を語る番組の収録がある。私が取り組んできたのは、ディープなテーマが多いが、「日全国」という土俵でどれだけ響いてくれるかどうか、面白い実験だと考えて全国をまわりたい。 そのひとり、山花郁夫衆議院議員によると、民主党内でもようやく「児童ポルノ禁止法改正」で俎上にのぼっている「単純所持規制推進の一辺倒」ではなくて、慎重派の議論が出てきたようだ。そもそも政権交代前の「自民・公明・民主」でやってきた議論がそのままよみがえるというのはおかしい。「表現の自由」「内心の自由」もふまえて、「悪質な児童ポルノ(その定義・範囲は明確に限定された)」を規制することを練り直す「新民主党案」をつくることも議論しているのだという。 来であれば、

  • 都青少年条例で16日夜、ニコニコ生放送に出演決定

    昨日、ニコニコ動画から連絡があり、来週16日の『ニコニコ生放送』「とりあえず生中(二杯目)」(21時~22時)の生放送に出演してくれないかとの依頼があった。火曜日は「ニュースの日」として政治ジャーナリストの角谷浩一さんがメインパーソナリティーをつとめるそうだ。角谷さんとはJ-WAVEで何度かスタジオで意見交換している。テーマは、東京都青少年健全育成条例で「児童ポルノ禁止法」との関連で議論を深めたいという。21時15分ぐらいからのコーナーで、22時までの予定だという。もちろん、即OKした。 「これまで保坂氏は東京都青少年条例のことをなぜ取り上げなかったのか」という声も寄せられたが、もちろん条例のことは知っていたし、児童ポルノ禁止法改正の「3年後の先取り」(今回の自民・公明案にはマンガ・アニメの直接の規制はない)だという認識はあった。「八ッ場ダム」や「沖縄基地問題」に総力をあげて取り組んでいた

  • 児童ポルノ禁止法の議論を「水面下」から引きあげろ

    「児童ポルノ禁止法」をめぐる昨日の記事に対して、たくさんの反響をいただいた。しかし、委員長提案で全会一致という「水面下の動き」が活発化したことと、 夕方4時から開かれた自民党法務部会の決定が「自民・公明」案で国会提出することを決めたというのだから、「いったいどうなっているの」という問い合わせが届いた。まずは、共同通信のニュースは次のように書いている。 [引用開始] 児童ポルノ改正、再提出へ 自民「単純所持」禁止 自民党は17日の法務部会で、個人が趣味で児童ポルノ映像を持つ「単純所持」を規制対象に加える児童買春・ポルノ禁止法改正案の今国会提出を正式決定した。公明党に共同提出を呼び掛ける。 改正案は自公両党が与党当時に提出したものとほぼ同じ内容。先の通常国会では、購入などを規制する対案を提出した民主党と自公が修正協議を進めたが、衆院解散で両案とも廃案になった。 自民党の森雅子法務部会長は「与野

  • 議論なしで「児童ポルノ法改正」を急ぐべきではない

    「児童買春・児童ポルノ禁止法案改正案」は自民・公明の議員立法として解散前に法務委員会でたった1日だけ審議されたが、審議未了・廃案となった。しかし、解散直前まで「自民・公明・民主」による3党修正協議は続けられた。保坂展人(社民)も協議メンバーに加えてほしいと要求したが、入れてもらえなかった。協議終結の最終段階で民主党から協議内容を手渡してもらったが、その議論は棚上げしたまま「解散・総選挙」に突入してしまったわけだ。申し訳ないことに私が落選したこともあって、永田町情報が入ってくるスピードも減速した。 だが、今日この時点ですべてが決しているわけではない。ただ、国会での議論を省いて、「全会派一致」で「委員長提案」で法務委員会に提出されると改正案は長くても2~3分で成立してしまう。これは、付帯決議をつけた場合で、これ以外は議事録も残らない。この「委員長提案」の環境がそろいつつある「最終段階」まで来て

  • 児童ポルノ禁止法、水面下の動きが加速

    今日は時間がないので、あまり詳細な報告は出来ないが、わずか4カ月前に解散前の国会で議論された児童ポルノ禁止法の「単純所持規制」を中心とした議員立法が、11月末日に終了する通常国会で「可決・成立」に向けて走り出しているというので驚いてしまった。まずは、4カ月前の政治状況で言えば、自民・公明の巨大与党が解散前の国会で一気呵成に成立をはかろうとごり押しをはかってきた児童ポルノ禁止法だが、あまりに幅広い「児童ポルノ」の規定と、また宮沢りえの『サンタフェ』さえ「1年以内に廃棄処分」を求められる可能性もある「単純所持の犯罪化」の余波は、大きく広がった。 そもそも、解散前に自民・公明が提出してきた「児童ポルノ法改正案」と、当時の少数派であった民主党が提出した対案との「修正協議」をめぐる環境は、8月30日の政権交代によって大きく変わった。少なくとも、「児童ポルノの現状と子どもの被害」の実情について「立法事

  • これからの長期戦にそなえてお願いしたいこと (追記あり)

    選挙が終わってから2週間がたった。幸いなことに、「これからどうするのか」「何か仕事を探さなければならないのではないか」と声をかけてくれる人も多くて、ありがたい限りだ。ここで少し、落選した前議員の懐事情を解説しておこう。国会議員であったのは衆議院が解散した7月21日までだから、選挙戦に入る前から給料は支払われなくなった。当選しなければ収入が途絶えるのは当然だが、退職金などはどうなるのか。今回は、議員在職中に1月10万円を7カ月支払っていた。あの「議員年金」の積立額である。このうち80%が払い戻されることになる。なぜ、7カ月だけなのかと言えば、小泉元総理の鶴の一声で「議員年金」が廃止されたから、10万円づつ納付する制度が終了したのである。 元国会議員だけが高額の年金をもらってのうのうとしているという批判の高まりもあって、国会議員年金は廃止された。ただし、廃止された当時「10年を超えて在職してい

  • MIAU(インターネットユーザー協会)の『児童ポルノ禁止法緊急声明』に賛同する

    昨夜の『朝まで生TV』に出て、仮眠後に午後から杉並区内3カ所と中野で街頭演説をした。西荻窪には、福島みずほ党首が駆けつけてくれた。解散後初めての土曜日の党首の動きということで、各テレビ局のカメラも並んだ。昨日とはうってかわって、夏の直射日光が容赦なく降り注いでいる。「灼熱のたたかい」がいよいよ始まった。熱射病や熱中症に注意しつつ、この暑さを乗り切っていきたい。 さて、昨日のブログに「豪雨の水しぶきの中で語りかけること」というタイトルを使用したところ、読者から次のような指摘をメールでいただいた。 [引用開始] 今日のブログに豪雨とあったので、山口県の豪雨を気遣う文を書いてくれたのかと思ったら、違っていたのでがっかり。 テレビ出演やイベントの告知も兼ねていたので仕方ないが、日々の運動のことよりも日をどうしてくれるかに関心があります。 昨日か一昨日のスーパーモーニングで飯島元秘書官が、こんな時

  • 児童ポルノ禁止法と表現及び言論の自由について

    「サンタフェ」が児童ポルノにあたるという与党案提出者の発言に驚き、この間、単純所持規制や3号ポルノの定義などの問題点を指摘し、児童ポルノ禁止法の与党改正案の危険性を訴えてきた。もうひとつ忘れてはならないのが、日ユニセフ協会などが実在の被害者の存在しないマンガ・アニメ・ゲームなどの創作物も「準児童ポルノ」として規制せよと訴え、これに呼応して与党案に「児童ポルノに類する漫画等の規制及びインターネットによる閲覧の制限については、この法律の施行後三年を目途として、前項に規定する調査研究及び技術の開発の状況等を勘案しつつ検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする」という付則がもられていたことだ。 児童ポルノ禁止法は、現実に行われている性的搾取や性的虐待から子どもを守るのが、来の趣旨である。にもかかわらず、妄想や空想、想像を表現した創作物を規制対象とするのは納得がいかない。

  • 児童ポルノ単純所持を犯罪とする海外で何が起きているか

    単純所持を取り締まっている海外では、どのようなことが起きているのだろうか。家族と暮らす18歳未満の高校生のもとに、児童ポルノを所持していたとして、警察が家宅捜索に入り、少年は逃げようとしてマンションから転落して死亡する事件が起きているという情報をブログの読者からいただいた(ネット上にも掲載されているとのことだったが、あいにく見つけられなかった)。何とも痛ましい事件だ。警察によって児童ポルノを所持している18歳未満の少年が取り締まられるというのはどう考えればいいのだろうか。むしろ、行政が福祉的な対応をすべきだったのではないか。海外の事例なども参考にしつつ、単純所持の規制・処罰の是非をきっちりと考えていかなければならない。(保坂展人事務所・児童ポルノ問題調査デスク) 以下、海外で起きた児童ポルノの所持にかかわる捜査事例や裁判事例を法律雑誌やネットの情報などから、ごく一部をまとめてみたものだ。海

  • 児童ポルノ禁止法の「修正協議」は継続中

    またもや「児童ポルノ禁止法」の「与野党合意」が成立したという情報が流れた。具体的にはTBSのニュースが報道したものだが、実際はどうだったのかと民主党の担当者に聞いてみると、「持ち越しになった。まだすべて合意したという段階ではない」とのことだった。ならば、なぜ「与野党合意」のニュースが流れたのかと聞くと、与党側が記者レク(ブリーフィング)をしたからではないかとのことだ。 児童ポルノ画像所持、原則禁止で合意(TBS) 今の国会で審議されている児童ポルノ禁止法の改正案をめぐって自民・公明・民主党の3党は、これまで禁止されていなかった児童ポルノ画像などを所持する行為についても、原則禁止することで大筋合意しました。 [引用終了] このようなニュースは、一面の真実を伝えているものの正確ではないようだ。そこで、今日の段階で把握出来た限りの状況を記しておくこととする。「一面の真実」と書いたのは、たしかに大

  • 児童ポルノ法の制定目的とかけ離れた監視国家への道(質疑動画付)

    明らかなスリカエが起きている。児童買春・児童ポルノ禁止法の立法事実(法律をつくる当時の根拠となった社会状況)は、東南アジアで日も含めた欧米各国から子どもをターゲットとした「買春ツアー」が行なわれ、最貧国の子どもが売買され、苛酷な性的搾取を強要されているだけでなく、逃げることの出来ない監視の中で経済的にも搾取されているという事実であり、また子どもを性的凌辱の対象としたポルノが出回ることで、長期にわたって子どもの人権が蹂躙されることを放置してはならないというのが、1999年当時の立法目的だったはずだ。先週の参考人質疑でアグネス・チャンさんが感情をこめて訴えたのは、すべてこうした「被害者の子どもたちの声を聞いて下さい」ということであり、私自身が強くそう考えていることを何度も強調した。チャイルドライン、児童虐待防止法と「子どもの人権」の側に立って、私が国会で活動してきたことは、この分野に関心を持

  • 『Santa Fe』を1年間で処分すべしとする与党案に驚く

    児童ポルノ禁止法案の審議が始まった。率直に言って、予想以上にスゴイ内容が与党から提案されていることを、あらためて思い知った。篠山紀信さんが宮沢りえさんを撮影した「Santa Fe」(1991年朝日出版社※99年は小型版の初版でした)が午前中の審議から例として出された。与党提案者の葉梨議員は、「内容を見ていないからわからないが」と前置きしながら、児童ポルノの要件を満たしているのであれば、「1年以内に処分された方がいいと思う」と述べた。すなわち、今回の与党案で児童ポルノの「単純所持」を犯罪化することで、1年の猶予を与えるからその間に該当するものは大手出版社から出た著名な写真家の写真集だろうが、廃棄するなり処分するのがよい……という見解を述べたのだ。与党案が通過すれば、出版社は「児童ポルノと疑われる過去の出版物」の在庫を大量に廃棄し、古屋さんは過去に出版された『平凡パンチ』『プレイボーイ』『G

    rag_en
    rag_en 2009/06/27
    情報の所持・消費は加害ではない。被害者救済は結構だが、そのために加害者で無い者を断罪してはならない。そもそも被害者云々なら、ポルノの問題じゃなく労使の問題で考えるべき。…という話だと思うんですけど…。
  • ニコニコ動画で「児童買春・ポルノ禁止法」を議論した

    昨日は少し疲れたために「ニコニコ動画」に出演したという報告だけを記した。生放送終了時には見た人が19000人、コメントが12万を超えていた。このブログを読んでいる人が3000人前後であることを考えると、すごい人数だ。政治家でニコ動生放送に登場したのは、麻生太郎氏、小沢一郎氏、長昭氏で、私が4人目だという。インタラクティブ・双方向でやりとりが出来る特性を生かして、若い世代と政治家が直接対話する機会が生れたことは面白いなと思う。近く衆議院議員会館の会議室で「児童ポルノ禁止法改正案と青少年ネット規制法」をめぐって、若者との意見交換会を行うことにしたい。オフ会の案内は末尾へ→ そもそも児童買春・ポルノ禁止法(1999年)の立法目的(その法律が必要である理由)は、子どもが人身売買されたりポルノの被写体となって直接的に、また長期にわたって被害を受けていることを防止することに大きな目的があった。この法

    ニコニコ動画で「児童買春・ポルノ禁止法」を議論した
  • ワーキング・プアを生み出したのは誰か

    景気が回復局面だという。企業の設備投資意欲も活発になり、久しく続いた「ゼロ金利」も解除に向かう。「医療・福祉のセーフティーネットは過剰に充実しすぎており、金持ちがもっと金持ちになって社会全体を牽引していくことで下層階級の所得も引き上げることが出来る」というのが、新自由主義の構造改革論者の十八番だったが、そろそろ「構造改革」の結果が現れて検証可能な地点に立っている。今年の国会で「格差社会」がテーマとなったのは、「非正規雇用が3人に1人」「生活保護以下の所得で生活する人々が400万人以上」などと実態の一部が出てきたからだ。 真面目に働くことで貯蓄をして、よりよい住居や生活を構築するという従来の「勤労者像」をさかさ絵にしたような悪循環に苦しんでいるのが、「ワーキング・プア・働く貧困層」の人々である。働き続けることで、あるいは求職を続けることで、わずかな貯蓄をも取り崩してアパートの家賃を支払うお金

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