オンデマンド印刷による新たな製造・流通拠点を整備、小ロット印刷に対応し返品率や過剰在庫などを減少させる。また工場以外にも、新しいオフィスやコンテンツ発信の場となる拠点を併設する。 返品率の低下などによる収益改善は、1年当たり25億~30億円を見込み、稼働後10年で投資を回収する計画だが、今後数年にわたり大規模なキャッシュアウトが続く上に、出版不況がより悪化し想定が狂う可能性もある(図4)。 もっとも、17年3月期には400億円の借り入れを行ったことで、キャッシュは潤沢にある。足元では現預金846億円、自己資本比率44%と財務は一見健全性を保っているため、直ちにリスクが顕在化することはないだろう。 ● もとより幻想? 統合効果は見えず新規事業も出遅れ むしろ、同社にとって根本的な課題となるのが、統合当初の狙いであったネットとコンテンツの融合によるシナジーや革新的新事業が、ほぼ皆無であることだ