欧米で生まれ発展してきた鉄道模型について、その歴史は知っていたほうがいいと思う。私は現代史が好きだった。ダイナミックなドラマを演じた庶民や英雄たちの息づかいを感じる距離にいる。振り返れば、まだ自分の生き様の修正や出直しが効きそうに思える。 鉄道模型と付き合って半世紀を越えたが、世界と日本のファンの間に、これほど大きな隔たりがあるとは思いもよらなかった。生活空間の違い、文化の違いは有っても知れたものだと思っていた。しかし、同好の志の言動を観察しているうちに、明らかな間違いや誤解に基づくケースが多い。それと情緒的評価による個人的な好みのモンダイも根が深い。これは、視覚的調整を具体的に示さねばピント来ないと思われた。そこで、ボクは初めての鉄道模型入門書を廣済堂から1977年に上梓した。これまでに例を見ない切口と視点は、たちまち話題になり版を重ねた。それまでも日本には鉄道模型の入門書やガイドブック