「オウム真理教の事件は全部陰謀で、でっちあげだったと言われました。本当でしょうか」 心理学者や弁護士などでつくる日本脱カルト協会の理事で、オウム真理教問題に詳しい弁護士、滝本太郎(56)=横浜弁護士会=の元に平成23年ごろ、こんなメールが届いた。 差出人は関西出身の女子大学生、ユキ(仮名)。滝本はすぐに連絡を取り、ユキがオウム真理教の後継団体「アレフ」に入会していることを知った。 今も元信者らと接点のある滝本によれば、地下鉄サリン事件(7年)など一連の事件を「国家によるでっちあげ」などと教え込むのは、アレフが信者獲得で近年多用する手法だ。陰謀説に疑問を持たれると「一部信者の暴走」と変遷し、オウム真理教教祖の麻原彰晃(58)=本名・松本智津夫=の事件への関与を否定。最終的には「正しいポア(悪行をなすものを転生させる)だった」などと殺人を肯定するという。 ユキは入会当時、事件のことをほとんど知