20世紀初頭、米国が今の中国のように経済大国として浮上しつつある中、その成長の波に自分たちも乗ろうと日本から米国に渡った熱い事業家たちがいた。米国の中でも日本から最も遠いフロリダ州に、困窮から抜け出すためではなく、起業家精神を発揮し、日本の将来を考えて「日本人のコロニー(入植地)」を築こうと入植事業に挑んだ数十人の日本人だ。今の時代と異なり、情報が限られる中、自らの人生と財産を投じた彼らの物語をつぶさに取材し、今夏、著書『大和コロニー~フロリダに「日本」を残した男たち』にまとめたジャーナリストの川井龍介氏に何が彼らを駆り立てたのか、そして、そのことが今の時代に問いかけている意味について聞いた。(聞き手 石黒 千賀子) 川井龍介(かわい・りゅうすけ)氏 1956年神奈川県生まれ。慶応大学法学部卒業後、毎日新聞社に入社。退社後1986年から1年間、フロリダ州の「デイトナビーチ・ニュースジャーナ