AI(人工知能)モデルの「長期記憶」がにわかに注目を集めている。これまで大規模言語モデル(LLM)が一度に処理できるトークン量を表す「コンテキストウインドー」には限界があり、プロンプトで入力された情報を長らくとどめておけなかった。この弱点を克服できればLLMの用途は一気に拡大する。 「鍵を握るのは長期記憶だ」――。2025年2月、米Open AI(オープンAI)と企業向けAIエージェント「クリスタル・インテリジェンス(Cristal intelligence)」を共同開発することを発表したソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、こう見通しを語った。長期記憶に関する特許も複数取得済みだという。 クリスタル・インテリジェンスは、企業が抱える情報システムのソースコードやデータを学習し、自律的に業務を代行する。この構想の実現を左右するのが長期記憶というわけだ。オープンAIのサム・アルトマンCEO
